こんにゃくライトセイバー

あさおきて ひるねして よるねた

タイトルは気にしない

昨日はビックリされたかと思うんですが、まだ続くんです。
暇で暇で暇で、仕方ない人に、オススメです!
一応、続きものなんでリンクを貼ってみたり。なんだか恥ずかしい。

どうしよう。題名とか思いつかない - こんにゃくライトセイバー
↑貼ってみたりって言って、貼ってませんでした。


チカちゃんは町で噂になるくらい綺麗になっていた。
「ゴボウが向かってくる」と揶揄された身体は女性らしい丸みをおび、短く刈っていた髪は肩まで伸びた。
少年の様な顔立ちは整った目鼻立ちに変わり、化粧気がなくても通りすがりの人を振り向かせるほどだった。


一方僕は背だけがひょろリと伸びたけれど、痩せっぽちは変わらず、母には「あんた、見た目は普通なんだから中身で勝負よ」と言われる程度の容姿だった。
そんな僕が発光しているようなチカちゃんに話しかけられるわけもなく、遠目でチカちゃんを見つけると避けるようになっていた。
近所に住んでいるので、僕は家の周りを歩く時が一番緊張した。


そんなわけで、僕の話とチカちゃんの話がもう一度交わることなんて想像もしてなかった。今日までは。


いつもの通り、帰宅部の僕は高校を出ると、まっすぐと家に向かった。
近所の公園を通ると、家の近道なのでそこを通るとチカちゃんを見かけた。
公園のベンチに座っているだけなのに、ここからでも見つけられる。
僕はいつも通り、道を変えようと踵を返すつもりが、チカちゃんの挙動が気になった。
泣いている……?


チカちゃんは泣くときはうつむかず、上を向く癖がある。
今もチカちゃんは上を向いたまま微動だにしない。
僕は吸い寄られるように近づくと、無意識にハンカチを差し出していた。
チラリと僕を一瞥すると少し驚いたようだけど、黙ってハンカチを受け取り涙を吹く。
僕はなんて声をかけて良いのかわからず、黙って隣に突っ立っていることしか出来なかった。
少し落ち着くと、ついでにハンカチを鼻にあて「へっ!ビー!」
あ、ハンカチなのに鼻をかがれた。


「ありがとう」ハンカチを返してくれる。
僕は出来るだけ、鼻水部分に触れることがないよう、人差し指と親指でつまむようにハンカチを受け取る。
「久しぶり」赤い目を細めて笑う。
場違いだけど、泣いた後の女の人は綺麗だなと思う。
「……私ね、初めて男の人とお付き合いしたの」唐突に話し出す。
付き合っていた?
何故か僕の胸がざわつく。
「それなのに、ずっと、その……一緒に泊まったりしてなかったら『お前、むかし化け物屋敷に出入りしてただろう』って言われたの」。
そこまで言うと、一息吸う。
「そいつがね、『あそこの化け物屋敷にはどうも男が住んでいたらしい。もしかして、お前、悪戯されてたんじゃないか?』って言うの『だから抱かせないんじゃないか』って」。
チカちゃんの口から、刺激の強い話がポンポン出てくるので、僕は平静を装うのが精一杯だった。


でも、僕の中で一波過ぎると苦い気持ちが広がってきた。
おじいさんが、イタズラ?
ふざけるな!!
と。


チカちゃんは僕の気持ちを汲み取ったのだろう。
「そんなこと言う奴、こっちから振ってやったんだけど、大事な思い出が汚されたようで悲しくなっちゃって」。
「大事な思い出」と言ってくれることで、僕の気持ちは少し和らいだ。
「ねぇ!のひ太!おじいさんはそんな人じゃなかったよね?」食いつくように僕に問いかける。


チカちゃんの目がまっすぐに僕を見据える。
その視線は僕の中を見透かすようだったからかもしれない。
「探ってみる?」
思いがけないことを僕はチカちゃんに問いかけていた。


実はおじいさんのことを探る手が全くないわけではなかった。
おじいさんは忘れたのか意図的か、小刀だけを化け物屋敷に置いていった。
あの鉛筆を削った小刀だ。
チカちゃんも欲しがったけど、特別な思い出があるものだと説明すると、あっさりと僕に譲ってくれた。


思い出として欲しかったのには嘘はない。
ただ、それ以外に理由はないかと問われれば嘘になる。
当時、僕の読んでいた漫画で、主人公が刀の柄の刀身部分に自分の名前を入れるシーンがあった。
おじいさんの小刀は、それは立派なもので、そういった「名」が刀身に入っていてもおかしくないと思っていた。
チカちゃんから小刀を譲り受け、一人で柄を引き抜くと想像は現実になって現れた。


このことは、チカちゃんにも話していない。
チカちゃんに話せば確実に真相を知りたがる。
そして、その真相は必ず暴かれるだろう。
でも、真相は必ずしも優しいものではないかもしれない。
僕達を傷つけるものかもしれない。
そう考えると怖くて、チカちゃんに話すことが出来なかった。


だから、今さら「探ってみる?」なんて言うつもりはなかった。
なんのことはない。
僕の心の奥底にも「知りたい」という欲求があったのだろう。それをチカちゃんに暴かれてしまったのだろう。
案の定、チカちゃんは真剣な表情で「知りたい。おじいさんが何者で、私たちとの時間は何だったのか、知りたい」と応えた。


そして、小刀のことを話すとやっぱりチカちゃんは怒った。
その後に「まぁ、のひ太らしいけどね」と笑った。
「よし!」
勢いよくベンチからチカちゃんが立ち上がる。
「久々に私たち、チームだね」
チーム?そうか。そうかもしれないね。
「嫌われてると思ってたよ」
き、嫌う?なんで?
「私のこと、避けてたでしょう?」
いや、それは……。
綺麗になったチカちゃんに、話しかける勇気がなかったなんて言えない。
「でも、いいよ。今日ハンカチ貸してくれたしね」
鼻水まみれにされたけどね。
「でも、のひ太カッコよくなったよね」
え?
「泣いてる女の子に黙って隣に座るなんてなかなか出来ないよ」
何も言えなかっただけなんです……
「じゃ、明日から活動開始ね!またこの時間にここで!じゃーねー!」
さっきまで泣いていたのが嘘のように軽い足取りでチカちゃんは帰っていった。
「僕んちも、そっちなんだけど……」。


こうして、僕はまたチカちゃんとタッグを組むことになった……。



いやーびっくり!
2日目にして終わらない!!
途中で「こりゃ終わらないな」って思ってたら当たっちゃった。
チラシの裏にでも書いてろ」って思ってますよね?
うん、あなたの心の声、届いてるよ。

でも、今はノー下書き・即興でこれを書いている僕を褒め称えればいいと思うのです。
明日に続く!!