こんにゃくライトセイバー

あさおきて ひるねして よるねた

タイトルは気にしなくていいですよね?

今日の日記、全然妄想入ってなかったなってお思いでしょう。
なぜなら、今日はこっちを書こうと思ってたから。
チカちゃんとおじいさんの話!


一話目
http://konnyaku-lightsaber.hatenablog.com/entry/2015/01/30/005804
二話目
http://konnyaku-lightsaber.hatenablog.com/entry/2015/01/30/230026


○話目、とか言い始めてる自分が怖いです。
僕、どこに着地したいんだろう……





翌日、緊張しながらチカちゃんの家のチャイムを鳴らした。
チカちゃんは「明日、またここ(ちかちゃんが泣いていた公園)で、待合わせねー」って帰っていったけど、いつ会うか決めてなかったので、直接チカちゃんの家に行くことにした。
相変わらずチカちゃんは勢いはあるんだけど計画性はないよなぁ、そのへんは変わらないなぁと思う。


そんなチカちゃんの家。
小さな頃は何度も来たことがあるけれど、大きくなってからは初めてだ。
女の子の家に行く。
僕には向こう10年くらい縁がない話と思っていたけど、こんな日が来ることになるとは……。
チャイムを鳴らす手が震える。喉が渇く。どうしよう?もう帰りたい気持ちでいっぱいだ……


「はーい。あ、のひ太、家まで来てくれたんだ?上がって上がってー」
僕の緊張はお構いなしにチカちゃんは、開けっぴろげに入れてくれる。
きっと僕のことを弟かなんかくらいにしか見てないのだろう。
チカちゃんの部屋に通される。
勉強机、本棚、パソコン、ベットしかないシンプルな部屋で、昔とほとんど変わらない。
ベットは意識しないように、視線をそらしながら勧められたイスに座る。


「で、おじいさんのこと、どう調べるの?」


おじいさんは僕らに名前を教えることはなかった。
僕らは「おじいさん」と呼んでいたし、おじいさんも呼びかけるときは「おい」だけだった。
それに僕らのどちらか一方だけに話しかけることはなかった。
だから、僕らの間に名前は必要なかった。
その関係性は心地よかったけど、今となっては悔やまれる。


僕はカバンから小刀を取り出してチカちゃんに渡す。
「これ、おじいさんがよく使ってた小刀だね。懐かしいなぁ」
チカちゃんは優しく目を細める。
「昨日話した通りなんだけど」
僕は小刀を受け取りながら、説明する。
「柄の部分を外すと、刀に銘が入っているんだ」
柄を外してみせる。
一度見てから、怖くて見れなかった銘が目の前に現れる。
「村田 末次」
とだけ入った銘だ。


「刀に銘が入れられるってことは相当の資産家だったんじゃないかな。それなりに名のある人なら、僕らにも調べられると思うんだ」考えを話す。
「なるほどね。うん、早速調べてみよう」
チカちゃんは即答する。
まっすぐ進むことを恐れない人なんだな、と思う。
僕は真実を知ることが少し怖いけど、今は、今だけは、チカちゃんが隣にいる。
だから僕も進むことが出来ると思う。


「パソコン、借りてもいいかな?」


しかし、どの検索エンジンを使っても、それらしい結果は出てこなかった。
「うーん、探偵でも雇わないと無理かな?いくらするんだろ?」
チカちゃんが財布を覗く。チラッと見えてる中身にはお札らしきものは入っていない……。


「いや、検索で駄目なら、登記簿を調べてみよう。閲覧だけなら無料のはずだから」
チカちゃんが目を丸くして、僕を見ている
「ど、どうしたの?」
「いやぁ。あんなに頼りなかったのひ太が、こんなに成長してって思って」
泣き真似をする。
「お姉さんは嬉しいよ」
僕の頭を優しくなでる。
その感触があまりに心地良く、手が離れるとき少し寂しくなる。僕はそんな邪な気持ちをごまかすように笑う。
「同い年なのに僕の方が弟なんだ?」
「当然でしょ?」
チカちゃんが無い胸を張る。
「あ!いま『無い胸』って思ったでしょ!バカ!」
僕は慌てて登記提供サービスサイトに接続する。


「あった!」
一件の検索ヒットを見つけた。
「本当!?」
チカちゃんが体を寄せてモニタを覗き込んでくる。
ふわりと石鹸の香りが鼻をくすぐる。
いま、僕らが二人きりで部屋にいることを思い出して、ドキドキしながら検索結果を見返す。


村田末次さんが、故人として記載されていることにドキリとするが、亡くなった30年以上前だ。おじいさんではない。
「村田さん、会社の社長だったんだね」
小さな工務店の経営者だったようだ。
その工務店について調べてみると、10年ほど前に一度経営危機があったようだけど、今は村田 学さんという人が継いでいるようだ。年齢的に見て、末次さんの孫だろう。
工務店は都内。
で、あるならば、
「うん、この人がなにか知ってるかも。ここに行ってみよう」
チカちゃんは即行動の人だ。
一時間後、僕らは商社の前にいた。


村田工務店。そのままの名前だ。
工務店の外観は古びているけど、綺麗に掃除されていることがわかる。
チカちゃんはズンズン進むと、工務店のガラス戸を開け
「すいませーん、村田学さんにお会いしたいんですがー」
大声で聞く。
目の前にいた若い男性が、いきなり美少女が訪ねてきたことに明らかに驚いている。
「しゃ、社長ですか……?」
チカちゃんは大人な笑顔を浮かべるり
「あ、社長さんなんですね。はい、その社長さんにお会いしに来ました」
堂々としている。


「社長ー!」
逃げるように社長を呼びに行く男性社員。慌てていたのか僕らが訪ねてきた要件も聞かない。


「何か?」
すぐに社長と呼ばれた人が出てきた。


僕は、恐らくチカちゃんも、息を呑んだ。
似ている。
50代くらいだろうか?僕らの知っている頃より若いけれど、おじいさんに似ている。
「あの」
僕は一歩前に出て小刀を出す。
「急にすいません。僕ら、この小刀の銘を頼って訪ねてきました」
僕は、おじいさんとの生活について説明する。
おじいさんが急に消えたことを話すとき、少し声が震えたけど、なんとか説明できたと思う。
「おじいさんのこと、ご存知でしたら教えていただけないでしょうか?」
そう締めくくる。


学さんは少しだけ動揺したようだけど、表情は崩さず告げる。
「申し訳ないが、そのような人は知りかねる。小さい工務店だが、忙しいのでね。失礼する」
そう言い残すと、さっさと下がってしまった。
「ちょっと!」
チカちゃんが追いすがるも、社長室のドアを冷たく閉まってしまった。
「あ、あの……」
流れ上、その場にいた男性社員が申し訳なさそうに話す。
「社長、いつもは気さくな人であんな態度とか取らないんだけど……。最近はバイト入れてもすぐにクビにしちゃうし……。どうしたんだろう……」
良い人なのだろう。心配さが伝わってくる。
「行こう」
チカちゃんは、颯爽と工務店から出ていく。
僕は、気にかけてくれた社員さんに会釈だけしてチカちゃんについていく。


「何あれ!?」
怒っている。
「おんなじツラ、ぶら下げておいて知らないって何よ!?どう考えても嘘じゃない!!あのクソ親父!!!」
顔が真っ赤で、整ってた顔が鬼のようになっていた。
「殴り込んでも良かったけど、あの人が唯一の情報源だからね。のひ太の意見聞いてからにしようと思ったの」
一応、パートナーとして尊重してくれるようだ。


でも。
「ごめん、ちょっと思いつかないや。これからのこと、考えてみるよ」
真っ赤だった顔が、すっと戻る。
「そっか……」
僕らは口数少なく、家まで帰ってきてしまった。
「じゃあ……」
チカちゃんを家まで送って別れた。


正直なところ、手は考えてあった。
ただ、上手く行くか分からなかったし、余計な気をもたせるのも悪かったので喋らなかった。
その手は……


「おはようございます!」
次の日、学校を休んで、村田工務店に一人で尋ねた。
「表の張り紙を見ました!バイト、募集中ですよね?雇って下さい!」
無理やり懐に入り込む作戦だった。


「き、君……」
学さんがあんぐり口を開けている。
正直、こういうのは苦手だ。恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
でも、昨日のチカちゃんの悲しそうな顔。
あんな顔させるくらいなら、顔が溶けるくらい火が出てもかまわない。


「雑用ですよね!任せてください!手先は器用な方です」
有無を言わせず、働き出す。
「君!勝手に困るよ!」
学さんが慌てている。


ここが勝負どころだと覚悟して僕は、切り出す。
「御社について調べました」
学さんの制止の手が止まる。
「業績好調なんですね。でも、その分、人手が足りなくなった」
僕は自分の考えをまくしたてる。


「でも、雑務をする人を入れても学さんとしては満足いかない。すぐに暇を言い渡してしまうんですよね?」
ここからは僕の推測だ。
すぐにクビにしてしまうのは、優しそうな社員さんから教えてもらった。


雑務なんて誰でも出来ることなのに、社長自らクビにしてしまう。
なぜか?


恐らく、学さんもおじいさんから生活の知恵を教えてもらったのではないか?
これだけ似ているのだ。学さんはおじいさんの息子と考えるのが妥当だ。
息子に生活の知恵を教えこむのは当然だろう。
その生活の知恵を知っている人にとっては、普通に雑務をするだけでは物足りない。
もっと出来るのではないか?と学さんは考える。
それで、クビにして違う人を探す。
その繰り返しだったのではないか?
「僕ならおじいさんから生活の知恵を教え込まれてます!きっと学さんが満足行くように働けます!」
懐に入って、学さんと仲良くなって情報を引き出す作戦だ。


「……君が持ってきた小刀」
学さんが静かに語りだす。
「あれは代々、村田家が継ぐものなんだ」
これまでと違って優しい口ぶりだ。
「君が持っているということは……。僕と君とは兄弟ということになるのかな?だいぶ年が離れてるけどね」
学さんは大きく息を吸い、吐き出す。
「もう……いいか」
僕をまっすぐ見据え、学さんは言う、
「父のところに、案内します」





ね?
終わんないと思ったでしょ!
貴方の想像、正解です!
僕も終わんないと思ったんですよねー。

友達から「なんで急にお話書いてるの?気持ち悪くてたまらないから止めたほうがいいですよ」と、むしろ僕のことを心配してくれて言ってくれた人がいまして、このお話はこっそり書こうと思ってます。
なので、ノーシェア!


あと、飲みながら書いてるから色々怪しいかも。
まず登記簿ってそんなに簡単に取得できるのか?
登記簿調べたからって、職業まで分かるのか?
そもそも刀に自分の名前を入れるのか?
その辺は温かい目で見守ってください…


あと、ここまで読んでくれた人、ありがとうございます!
あなたの忍耐力は凄いです!
たぶん、次で終わるので、我慢してください。