こんにゃくライトセイバー

あさおきて ひるねして よるねた

姉以外、考えられない

ヤバかった!今日は本当に仕事が危機的状況でした。
社内とお客さんの妥協と優しさでなんとか乗り切りましたが、こんな冷や汗かくの久しぶりってくらい。
もう毎日が綱渡りなんですが、日に日にロープが脆くなる。
もしくは進行方向に向かって地雷を巻きながら歩いてる、みたいなことになってます。


トイレで鏡を見ると酷いことになってます。
「あれ?おれ、三億円盗んだっけ?」みたいな、あのモンタージュの顔になってる。
僕が警察なら、とりあえず捕まえますね。
捕まえて叩けば、何かしらやってる。
そんな顔……。


さて、感の良い人ならそろそろお気づきでしょうが、昨日までは建前でした。
妹?弟?兄?
いやいやいや、と。
んなわけあるかい!と。
欲しいと言ったら『姉』ですよね。
昨日までは、これが書きたいがための伏線でした。


姉さん。
逆に甘えん坊で、お茶目な姉さんとかが良いですよね。
地元の駅で反対のホームにいる僕を見つけて、本人はコッソリやってるつもりかもしれないんですが、思いっきり僕に手を振る、とか。
うわー恥ずかしい!
って思って見てると段々とエスカレート。振りが激しくなってくるので、こっちは控えめに「や、め、て!」と手で制する。
それを応答とみなしたのか、ものすごい嬉しそうに激しく手を振る姉さん。
てか、ピョンピョン飛び跳ねてるすらいる。


家に帰ってから「恥ずかしいから止めてよ」と抗議すると、「や、のひ太見つけてテンション上がっちゃって。それに伝えたいことがあったし……」と言う。
あんなに手を振り上げて、何をそんな重要事項を?と思いながらドキドキ聞くと、「今日はカレーだよって」。


会社で働いてる時とか電話が鳴って出てみると
「あーラーメン1つと、チャーハン。あ、やっぱり止めて餃子」
静かに電話を切る。また鳴るので出てみると
「お宅の商品?欠陥なんじゃないですか!?玉子を入れたら爆発したんですけど!」静かに電話を切る。また鳴るので、誰かが出ないように僕が取ると
「ハァハァハァ。パ、パンツ何色?」
「姉さん、暇なら働きなよ」


あ、姉さん、働いてないことになった。
てか、良いですね!
我ながら良い着眼点だった。
ニートでのんきな姉
「いいもーん、食べるのに困ったら、のひ太と結婚するし」とかいう姉。


平日なのに「のひ太ー海行こうよ」とか言ってきたり。
「や、これから会しゃ……」と言いかけて、はたと。
暖かくなり始めた風。よく晴れた空には立体的な雲。ちょうど谷間になった仕事。
「……行ってもいいかな」
と言ってみると
「え?行くの?行くのかー。春なのに?海?泳げないし寒くない?」
お前が!お前が言ったんだろう!と。
「お仕事、頑張ってきてね(ハート)」
みたいに振り回されたい。一日、心は海でモヤモヤしたい。


それなのに、妙に感が鋭くて僕が仕事で疲れてる時とか、正座した姉が「ん」と、自分の膝を指差す。
あ、膝枕?と気づくと、さらに「ん」と勧めてくる。
根負けして膝枕してもらうと、ゆっくり頭をなでながら「のひ太が頑張ってるの、私は知ってるよ」とか優しい言葉をかけてもらいたい。
姉さんには見つからないように、こっそり泣きたい。


そんな姉が結婚する。
どこで捕まえてきたのか、誰もが羨む好青年。
両親や親戚はも心の底から良かったと言い、更にその奥でホッとしている。
それを遠巻きに見守る僕。
「ん?のひ太、どうしたの?あんまり嬉しそうじゃないね」と姉が話しかけてくる。
「結婚するって言った」
「ん?」
「貰い手が無かったら、俺と結婚するって言った」
ブスッと言いたい。
「ずっと家にいればいいじゃん!俺が働くし!」
だんだん語気が強く言いたい。クレッシェンド。
「んー私は貰われちゃったからなぁ。それにそろそろ、のひ太を解放しないと」
ってシンミリ言われたい。
見つめ合う僕ら。
「のひ太……大好きだったよ」
その数秒後に、ガシッ!と抱き合って、泣きじゃくる姉と弟。
その光景を見た親戚から「あらあら。あそこの姉弟は仲が良かったからねぇ」と、ほのぼのと言われたい。



あー今日のはヒドイな……。
てか、最後の結婚するくだりを除いて、今回の話は姉である必然性がないという……。
本気で、疲れてます……。