こんにゃくライトセイバー

あさおきて ひるねして よるねた

卒業

卒業したいなって思ったんです。ふと。


それは、「会社を」とか「打算的なお付合いを」とか「生産性のない毎日を」とかでは無く、普通に学校を卒業したい。
「お前、学生じゃないじゃん。何言ってんの?」とまともなことを言う人には、この言葉を送りたい。黙れ、と。
ほらー最近、シーズンだから町中で卒業生をよく見かけるじゃないですか?
彼らの晴れやかな、でも、どこか寂しそうで、それを誤魔化すようにはしゃいでるところを見ると、羨ましくなってくるんです。


僕も新しい門出を味わいたい!
校長先生から「君たちはまだ若い。未熟だ。それ故に無限の可能性を持っている」とか何とか感動的な言葉を贈られたい!


皆さん!どうです?卒業式の思い出ってあります?
僕は大学時代の卒業式は、飲み会まで3時間くらいあってやることないから、ブックオフでマンガ読んでた記憶しかない……。

高校時代の卒業式は寝てるうちに終わってしまって、夜はクラスの同級生とお酒を飲んアバババババ。どちらにしろ寝てるうちに終わっちゃいました。

中学時代は、もう記憶がない……。何したっけ?


そんなんだったから、やり直したい!
卒業生答辞で生徒会長が前に立って「僕より答辞に相応しい人がいると思う。のひ太、前へ!」とか、急に呼び出されたい。
高まる体育館。止めに入る先生。それを阻止する、また別の先生。
「良いじゃないですか。最後だしやらせてみましょう」って言われたい。


卒業式が終わったあとには、後輩たちにボタン、バッグ、果ては上着まで取られて、シャツとスラックスだけになりたい。
「さみーよ」って苦笑いしたい。
「センパイっ!私のこと、絶対に忘れないでね!」って慕われてる後輩の女の子に言われても「たぶん、こいつの方が先に俺のこと忘れるんだろうな」ってちょっとだけ寂しくなりたい。
「それだったら、一回くらい付き合っても良かったかな」って、ちょっとだけ邪なこと思いたい。


最後に教室でたたずんでいると、女子がガラッと入って来てほしい。
「のひ太、みんな打ち上げに行くって。行かないの?」って聞かれたい。
「んー」とか適当な相槌をそっぽ向きながら言いたい。
「じゃー私も」って、隣の席にドサって座られたい。
ちょっとした沈黙のあと、
「……のひ太、私に言うことあるんじゃない?」って言われたい。
その言葉にも何も応えず、窓の外とかか見てたい。
「……女の子から言わせる気?」って言われて、ようやくその子の方を向く僕。
肩に両手をかけると、少し顔を上げ、目を閉じる彼女。
ゆっくり顔を近づける僕。
どこから舞い込んだのか桜の花びら。
あと、1センチ……5ミリ……と、唇が近づいた時に、ガラッと冴えない男子に入ってこられたい。
「あ、あ、ごめん!」


この男子が、この女の子のことを好きだったりすると良いですよね。
勇気を出して、女の子に告白しようとして探してたら、その後は他の男に顔を上げて目を閉じてる……とか。
うわー青春!!
そして、どっちかっていうとこの冴えない男子が僕ですね……
なんにも悪くないのに謝ってる自分が目に浮かぶ……


なんか話がずれましたが、青春を味わいたいっていう、いつもの話でした。