こんにゃくライトセイバー

あさおきて ひるねして よるねた

年の離れた友達

週に一回は会社に泊まる……
このペースは、この前のキツかった時を越えるかも。
こうやって自分の限界を引き伸ばされて、ゆくゆくは立派な社畜になるのですね。


さて、あんまり暗いことを書いてもアレなので休憩がてら日記でも。
夜中仕事していて疲れてくると、甘いものとかを求めてコンビニに行くことが増えてきます。蛾か僕か。
その途中に鏡張りのビルがあって、そこに自分達の姿を映し、ダンスの練習に励んでいる若者たちかいるんです。
遠目から見ていても彼らのレベルは高く、よくコーヒーを飲みながら彼らのダンスを観ていたりしてたんです。


で、ここ最近はほぼ毎日のように見ているので、そのうちの一人に話しかけられました。

「んだ?てめぇ?」と……。

こ、怖い。
けど、彼らはまだ20歳になっているかどうかも怪しい子ども達ばかり。
こちとら30代。お天道様に恥じることはなにもしていない、真っ当なサラリーマン。
毅然とした態度で彼らに対峙すべきと考えます。


「いや、君達のダンスが上手くてね。つい見とれてしまっていたよ」
と、紳士辞典があったら載っていそうな程、スマートな対応。
彼らも大人の対応が珍しいらしく「お、おおう」と何となくダンスを見ることに対して容認してくれるようになりました。
そんなこともあって、もっと近くで見せてもらうようになったんです。
端から見ると、ダンスする若者と近くで見守るオッサン。
変な光景だったと思います。


で、近くで見るようになると、まぁ自然に会話をするようにもなります。
一人の男の子とは特に仲良くなりました。
素人なので良く分からないんですが、彼が一番上手く、チームのリーダーのようでした。


「なんでダンスを始めたの?」
「小さい頃からやってたから」
「スクールとかに通ってたの?」
「まぁね。賞とかも取ったんだよ」
「へー道理で上手いわけだ。そういうのって親御さんが熱をあげてたりするよね?喜んだでしょ?」
「その当時は。でもダンスで食っていきたいった匂わせたら、すげー切れて。それからあんま家に帰らなくなったかな」


みたいな世間話のような、お悩み相談のようなかとをやっていました。実は。
たぶん部外者の僕には気楽に話せたんだと思います。


オッサンもやってみる?と踊らされて「下手くそ」って笑われたり、近くの泊まるのに良い満喫を教えてもらったり、なかなか良い友好関係を気づいていました。
このことは、誰にも言ってませんでした。
何か夜の間だけの関係って言うか、ギリギリのバランスで成り立っていた関係なので言語化すると、変に意識して喋れなくなるのが怖かったんです。
夜だけの細やかな友達。それで良いかなって。


でも、今日書くに至ったのには理由があります。
彼がアメリカに行くって言い始めたから。


「アメリカ?」
「(少し恥ずかしげに)親に話したら「行ってこいって」 」
「親御さんにダンサーになりたいって、ちゃんと話したんだ?」
「……オッサンさ、いつもボロボロになるまで働いてんじゃん?オッサン見てたら、俺はダンスにそこまで真剣だったかなって。そのことを親とちゃんと話したこともなかったしさ」
「俺のは単なる社畜だよ」
「でも真剣なのは、俺は知ってる」
「……ばーか。餓鬼が」


正直嬉しかったんですけどね。
誰であれ見てくれてる人がいるというのは。
そんな彼ですが先週からアメリカに旅立ちました。
彼のいない夜は何だかんだ寂しいですね。
でも!彼にとって良い旅となるよう。年の離れた友人に今回の記事を。




まぁ彼がアメリカに行ったって言うのは嘘なんですけどね。
ちなみに僕のことを見ててくれたっていうのもフィクション。
そのついでに言うと、年の離れた友人がいるっていうのも想像上の話。
本当なのは、今日会社に泊まってるっていうのと、コンビニの近くにダンサー集団がいるってことくらい。

あーあ、働こ……